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​文化科学高等研究院出版局

新刊案内

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『聖諦の月あかり

       思索のかなたに感じているもの

       情緒資本論への序奏』

山本理論・思想の初源・根源における情緒・感覚の世界。

思索の極みの果てにとどかないたいせつなものがある。

それはまた初源の、月あかりにうかぶ情緒の場所に照応する。

生きる感覚・情緒のおもしろき、

日常の愉しみ、しずかなやすらい、

<なせぬ>ものからうまれるしなやかなたしかさ。

「ぼく」が<自分>(自から分る)になる

近代思考から脱する<好み>の情緒資本の響き。

​初めての、軽みのエッセイ!!

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四六版 640ページ

​2200円+税 2020年11月11日発売

直販申し込みは

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​ 2420円(税込)送料込

(今回は通常判型で作りました。

​したがって定価を落とせました。)

著者から

自分の好みを述べています。「お前の主観などどうでもいい」という方には、苛立つのではないだろうと思いますのでおすすめできない。

しかしながら「情緒」へ迫っていくためには、自分が何を感じて物事をなしているのかをある程度客観化していかないと、何が問題なのか一般論で処理してしまうことになるゆえ、あえてこの作業をなしました。情緒から、情感、感情、情念、情趣などといったものが疎外され、身体との関係から「感覚」そして「知覚」へと関与し、思考・思索が疎外表出されていきます。それらがどのような場所へ配置されていくのか、この書を書くことで自覚できました。思索・認識で、どうしても届かないものが常にある、その根源でもあります。

いちばん大きな発見は、<音>が関与していることです。「音痴」なのに音痴の状態を感知できる、「良い音」を見分けられる、この「できない」ゆえに逆に研ぎ澄まされるものがある、そこが認識への関係に非常に関与していることがはっきりしてきたこと。

翻訳不可能を、イリイチとの初発の関係で感じてしまった根拠は、後に構文構造の本質的な違いとして理論的に認識されていきますが、語学が不得手であることから発生したことですが語学能力の問題ではない。フーコーやブルデューの邦訳をようシャアシャアとやるわという語学優等生たちの理論了解不在への呆れは、ただ非難ではなく、対象へ真摯にむきあうことへの怠慢への拒否です。

不可能さ」への自覚がとても大事だという情緒です。認識を規定している。

情緒表現をしていてさらに気づいたことは、「述辞」(動助辞/静助辞)がとても気になることでした。理論書を書いていてさほど感じていなかったことですが、今回はとても気になった。そこから、述辞が情緒表出に関与している、動詞や形容詞などの「詞」ではないという確信です。これは非常に本質的です。

好き」の背後には同時に<disgust>が関与し作用しています。<非−好き>で、ただの嫌いではない、微妙なしかし確実な感触です。

主語制表出と述語制表出との違いは理論的にはもうほとんど了解できているのですが、情緒論を通さないと退屈な文法言説になってしまう、言語表出として内臓系・体壁系に関わりながら、情緒論、情緒資本論への地盤が見つけられた作業です。「書かれえない」ことが逆射されてきました。

​こうしたことですので、読まれて、苛立たないでいただければと案じます。

​知的資本が健全に作用するには情緒資本が極めて重要であり、また情緒資本だけを社会意識へ働かせると無知の横暴が闊歩します。相互関係を、主語的ではなく、述語的に作用させるにはどうしていくかへの回路づけです。

近代思考から脱しえないのは、情緒規定がもう固定してしまっているからで、認識スキームの問題ではないのだと思いますが、情緒・感覚を高度な認識へと深めていく通道を​開示したものともいえます。

​弱い大洋ホエールズをほんとに好きな自分が生み出していったわたしの理論なのだと・・・・優勝した後の感覚変化はほんとに堕落したなと感じたものです。くだらぬことではないと思うのですが・・・・

​因果関係ではない、相互性です。

​【内容】

序奏  8

月あかりの音の響き  17              

 音のしらべのひさしき明かり  

  コルトレーンの至高の音:「至高の愛」と「マイ・フェバリット・シングス」 

   ◉my favorite thingsノート  

  メシアンの翔ぶ音:シュールな愛の交響曲の響き  

   ◉メシアンのピアノ曲とオルガン曲、そして交響曲  

   ◉メシアンの技法的な音楽哲学:「ハーモニーは色、音楽は色化された時間」  

   ⦿メシアンの鳥たち      ⦿メシアンの日本  

   ◉さらなるソロとオーケストラとの次元へ  

  愛の音  

  情熱的なジャズロックのフルート:闘いのなかでのジェレミー・スタイグ 

  サンタナ:ラテンロックの祈り:異界がふるさと  

  ビセンテ・アミーゴの〈音の詩〉 

  UAKTIとピンク・フロイド、そして武満徹:人為的音の自然と音のシニフィアン  

  音の情緒と自然の響きの享楽:無意識の彼岸にあるもの  

  メルセデス・ソーサとビオレタ・パラ:こころに響く「生への感謝」の歌声  

  【歌う音/声の音 】

  ストラビンスキー(1882-1971):春の相反する音のliberation 

  モーツァルト:プラハを奏でる音  

  前進し続ける情熱:ショスタコーヴィチを二〇一九年3.11をはさんで聴いた日記から            ◉交響曲第5番のいろんな指揮者たち  ◉ショスタコーヴィチの全交響曲  

  チャイコフスキーとゲルギエフ、そしてテミルカーノフとムラヴィンスキー  

  日本の音は四拍子で五音階:述語シニフィアンの音  

  ドゥダメルの踊るラテン・クラシック

目をこえていく絵の静寂  151                

 音なしの絵をこころにうつす  

  ジベルニーのモネ庭園のあまりの美しさ  

  カンディンスキー展に目眩む  

  ルオーのベロニカに恋する:そしてキルストの瞳 

  美術展/美術館とメキシコの壁画のこと 

  日本画の〈もの〉:非分離の述語的表出のわざ  

  月岡芳年の日本  

  日本の漫画は偉大:「学」を超絶する情緒表出  

忘我のひとときの映像のあかり  197          

 忘我の朧夜の愉しみ  

  デ・パルマのヒッチコック・タッチ 

  コスタ・ガブラスの政治的サスペンス映像  

  サム・ペキンパーのスローモーション・バイオレンス  

  スティーブ・マックイーンのかっこよさ:クールな美学  

  サスペンスはあきないが・・・  

  ファム・ファタールとギルダ=リタ・ハサウェイ  

  自分をもつ美しきヒロインのエロスと知性 

  あらためてサスペンスのファム・ファタールのエロティシズムと殺人︱

                       モニカ・ベルッチを範型にして  

   ファムケ・ヤンセンとモニカ・ベルッチ  

  荒野の七人と西部劇:痛快とは個性の発揮  

  高倉健・藤純子の任侠映画に涙するわけ  

  007は真の娯楽映画  

   ◉ル・カレのスパイ映画  

  テレビドラマの果てしなきおもしろさへの転移 24からキリング・イヴ 

  「ニュー・シネマ・パラダイス」と「ミツバチのささやき」:記憶のぬくもり  

   トルナトーレと少年。そしてモリコーネ音楽。  

   ◉エリセの少女と家族  

  舞踏と映画 Fosseに魅了されて  

  シネマ雑感 

   情緒の場所 

   【ぼくが選んだ映画200】        【ぼくが好きな監督・俳優】

文学の暗いみちしるべ 337      

 文学にあまりにあそべなかった  

  芥川龍之介の自死への想像願望  

  ドストエフスキー「悪霊」の誘惑に対する拒絶:スタヴローギンの首吊り  

  原民喜の原爆小景:夏の花の幻  

  メキシコでの大江健三郎さんと山口昌男さん  

  ガルシア=マルケス『百年の孤独』の場所  

  辻邦生文学と津島佑子文学の透明さ  

  藤井貞和さんと文法的詩学  

  ランボーと清水昶の詩魂、そして「白鯨」同人  

  ぼくには書けない心あたたかい詩と日常の残酷さ:清岡卓行と黒田三郎と吉野弘  

  ❖古事記は、日本心性の原基  

  ❖文学の情緒資本の場所  

  【コラム】情緒資本と知的資本  

スポーツと神々と、日々のくらし。そして海外にくらし、世界を旅する。399  

プロフェッショナルな身体精密の偉大さとわざ 

 スポーツマン金太郎と三原監督、そして大洋ホエールズ・ファンに 

 横浜ベイスターズの優勝に、滝のごときうれし涙  

 日本サッカーのプロ化:木之本興三の意志とワーク 

 F1を優勝させ世界と対決した男、桜井淑敏さん  

 ラグビー・ワールドカップの多国籍軍に感動 

 ❖〈プロ〉であることの意味  

 ❖プロの身体行動は〈非分離〉の創出である  

日本の場所の神々なるものに:国つ神の場所  

 大神神社で猿田彦にあう:アマテラスを追い出した国つ神=大物主の力 

 高千穂の夜神楽:村人たちが守り続ける国つ神と神楽  

 神田明神はぼくの守り神  

日常で、のんびりと生きている情感  

 莨で死んでもかまわない  

 医者にはいかない理由  

 骨折経験はおもしろかった  

 温泉効果を感じる日々  

 白地を描く墨書  

 枝垂れ桜の華麗なるあはれと、離れ離れの山桜  

 着物のこころを染め編む非分離の技術:誉田屋源兵衛さんと笹島寿美先生からまなぶ  

 わが愛しきピレネー犬  

 場所のおいしいものに暮らす  

  豆腐と納豆、そして場所の味  

  おいしい大人のラーメンはここ  

  寿司の真髄はどこにあるのか:扇寿司と葵寿司  

  横浜「だるま」の串焼き:おやじさんとよっちゃん  

  南足柄の梨と根府川の蜜柑:場所の果物の至高のおいしさ  

 山・川に遊ぶ少年期:高崎少林山と餓鬼のころの梨・桃泥棒  

 本のこと、書庫、そして出版  

海外でくらしまた世界を旅すると気分は爽快かつ危険  

 メキシコのバナキュラーな世界  

 ジュネーブで暮らす:パブリックな成熟の街  

 パリでの気楽な過ごし方  

 プラハの崇高さと本来の都市、そしてルクソー遺跡

 

学問と思想のあかり、そして研究生産  大学は終わっている。   533

 学問の場所、思想の場所における情緒:理論生産への挑戦と研究生産の開拓へ  

    マルクスへの情緒関与と実践規準   

    西欧世界からでなく第三世界/ラテンアメリカから〈世界〉を観る  

    帰国後、文化生産へ   

  〈批判〉考察は「否定」ではない、可能条件を探しあてること 

  ❖吉本隆明の思想資本は世界一:すべてはここから初まる  

  ❖イバン・イリイチと歩いたクエルナバカの丘  

  ❖フーコーとブルデューとラカンをなぜ読むか:

          実践(プラクシス)ではない実際行為(プラチック)  

  ❖ほんものの学者は、気さくな偉大さ:白川静さんと坪井洋文さん  

  ❖知的な偉大な企業リーダー:福原義春さんと小林陽太郎さん、そして飛島章さん  

 大学は役目を終えている:大卒知性でもはや未来は開けない、

                             新たな高等研究・高等教育の開設を 

   大学知性と大卒知性の特徴   労働の疎外が、自分利益になる大卒知性の効果  

 東大世界四〇位、京大六〇位、そんな日本アカデミズム低次元でぼくは思考していない     【hospitalityと場所と資本】  

 思想家にならない、「研究」生産を学術マネジメントすること 

    ・代表的な日本文化論の言説世界構図  

    ・世界水準での基礎理論の主要なもの  

    ・ぼくの知的生産ワークのプロセス  

  聖諦の月明かりで真笛の奏へ・・・  

 自己技術のオートノミー:あとがきにかえて  636